株式会社ジークス代表 渡辺が綴るブログ「なべこら」nabecol

大いなる沈黙へ

大いなる沈黙へ。これ映画のタイトルです。先日お盆休みの時に、神保町の岩波ホールで見てきました。この映画、音楽もナレーションも無いんですよ。ただひたすら修道院での生活風景を撮り続けるのです。3時間もあるんです。場所は、フランスのグランド・シャルトルーズ修道院。監督が一人で6ヶ月間も修道僧と同じ生活をして、撮影を敢行します。
スクリーンショット 2014-08-18 16.13.07俗世間を捨て、ひたすら祈り続ける姿は、考えさせるものがあります。特に、日頃からひたすらお金儲けという経済活動をしている身から見ると、まるで正反対の生活をしている彼らの生き方は、憧れでもあり不思議でもあり、しかも、カソリック教会の修道院ということもあり、仏教徒の日本人から見ると新鮮で興味深いことが沢山あります。宗教とは、どの宗教でも必ず決まったフレーズを皆で一斉に唱え続けるものですが、その音声とか響きが教会の中にこだまするのは、幻想的ですらあります。ただ、映画は全体的に幻想的で興味深いんだけど、静かすぎるせいか、あるいはストーリーがほとんど無いせいか、映画の音声とは別に、ふと誰かの寝息が耳に入ってくることがありました。私も3時間のうち、どれだけかは映画とは別の夢の世界に入ってしまいました。この映画の特徴として、再び戻ってきても特にストーリを見失うということも無く、どこかのシーンを見落として後悔したということも無いので、安心していってしまえるんですね。
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映画の中では、修道僧は神に近づくために、房でひたすら研究と祈りを繰り返します。聖書のフレーズがいくつか出てきまして、難解で理解しづらいものもあります。そもそも三位一体って何だったかな?神様と救世主イエスキリストと何かが神なんだよな〜とかのレベルの日本人には少々理解が困難かもしれませんね。画面に出ているキャプションは、フランス語とドイツ語に、日本の訳が出てきます。画面いっぱいがキャプションで埋め尽くされます。
いずれにせよ、主題は生きて行く為に目的を見失った現代人への批判だそうなので、難しく考えるよりは、修道僧みたいに神に自分の身を捧げるそういう生き方もあるのかと、謙虚にシンプルに自分の行き方を見直してみるということでしょうか。映画のタイトルになっている大いなる沈黙へとは、ある意味、饒舌に欲望をかき立てる現代社会の中で、浅薄な思考の中に埋もれて生きる我々のノイジーな生活環境を、一度じっくりと考え直した方がいいんじゃないかというメッセージなんだろうなと感じました。もっと言うと、たった3時間ぐらい静かに落ち着いて見られないの?と、この映画の監督が我々を試しているのかもしれませんね。
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