IT業界に入って苦節25年以上、インターネットという黒船が日本にやってきてから20年以上、いろんなモノを見てきました。様々なITトレンドの波に乗ったり、乗れなくて溺れそうになったりを繰り返してきました。そう、ITなんて言葉なかったあの時代、2016年の今のこの時代を想像することは出来ませんでした。当時、新幹線でPCを広げている人は、1車両に一人もいなくて、電車に乗ってまで何やってんのという目線の中、2時間しか持たないPCのバッテリーの減りを気にしながら使っていた時代が懐かしいです。当時福井から東京のRIMネットというプロバイダーにアクセスしまくり、月額15万円もの請求書を見た時には、バブル期によくあった、前の晩に酔っぱらって行ってしまった高級クラブの領収書を二日酔いの朝に見た時のようなデジャブを感じたものです。(冗談です)
当時弊社は、放送機器の制御をMacintoshを使ってシリアル制御するとか、マルチメディアシステムと言って、LD(レーザーディスク)をシリアル制御して、Mac上でオーバーレイして見せるようなシステムを開発しておりました。またその後、様々な公共情報をPCで制御して見せるというシステムも開発しております。その際、外部機器をPCで制御してそのデータを公衆回線を通して、管理者側やユーザーに送るシステムの開発なども手掛けておりました。これは、その後デジタルサイネージというように名前を変えて、一時トレンドになったこともあります。また最近ではオープンデータという言葉が流行ってますね。携帯電話が普及した時には、無線回線を使って機器制御情報を自動的に送受信しログをデータベースに書き込むシステムを作っていたものです。これはまさにM2M+クラウドの先駆け的なシステムであり、IoTにつながるものと言えます。
あ、そうそう。Chumbyなんて商品も取り扱ったこともありました。Flashが搭載された据え置き型の小型サイネージデバイスなのですが、クラウドにあるアプリケーションをダウンロードして多様な機能を載せ替えることができる画期的な情報端末でした。当時ギークの間では評判になりましたが、そのすぐ後にスマホが爆発的に売れ出してしまい、パーソナルな情報端末はスマホで充分なので市場から姿を消してしまいました。残念。
このように20年以上もいつかみた風景を見続けているわけですが、弊社の場合は、お客様から何か新しいことをやってみたいんだけど、最新のテクノロジーを使ったアイデア無い?みたいなお声をかけて頂くことが多く、結果的にそれが次のトレンドに乗っているようなことが多いわけです。で、今のトレンドがIoTとなります。もちろん、弊社独自のアイデアで開発をすることもありまして、弊社の屋内位置測位システムABStamperなどは3年前から、特にお客様からの要望も無く作り始めました。ウェアラブル端末でアスリートの体のスタミナを測ることができるGoMoreなどは、面白そうだからという興味だけで始めたりしてます。これなどは、IoTをデジタルヘルスに展開した例だともいえます。この先には、クラウドに蓄積されたバイタルデータから面白い展開ができるかもしれません。
弊社はもともとハードウェアをアプリケーションで制御するシステムの開発を得意としておりますので、最近ではインカートクックシステムという生食材から料理を自動的に作ってしまうという画期的な給食提供システムにIoTの技術を持ち込んで、献立の作成から加熱情報の送信やカートの制御をクラウドを使って行っております。ユーザーは、どこにいても献立を作成することができますし、加熱中になんらかのエラーが発生した場合は、管理者にメールが届きます。また、カートを提供しているメーカー側もクラウドに蓄積された様々なエラー情報を見て、機械の保守に役立てることもできます。なお、カートには弊社で独自に開発した中継BOXを接続して、制御をおこなっています。
弊社の場合、IoTへの取り組みは、未来を予測して行ってきた訳では無く、なんとなく興味のあることをやっていたらこうなったというのが正しいのかもしれません。IT業界において、この先に見える地平線の先には何があるのでしょうか。まだまだデジャブを体験し続けることになるのでしょうか。いやいや。今回はそんなことは無いでしょう。IoTがこれまでのITの歴史を塗り替える、画期的なシフトを起こすことになるような気がしています。AIとくっついたり、スマホやウェアラブル端末や工業製品に内包されることにより、破壊的なテクノロジーとして、IoTはこれまでの製品の概念を大きく変えるものになるんじゃないかなと期待しております。
ということで、10月19日から東京ビックサイトにで開催されるITPro Expo 2016のIoT Japanに出展しまして弊社のIoTの取り組みをご紹介させていただく予定です。ぜひお立ち寄りくださいませ。